耳管開放症・狭窄症(自分の声がひびく、耳がつまる)
耳管関連で受診の際には、当院の問診票および耳管外来問診票を印刷して、記入後、お持ちください。印刷のできない方は、受付窓口で「耳管診療」を希望の旨を伝えてください。耳管機能検査を先に案内することがあります。聴力低下の可能性を除外するため、聴覚検査をすることがありますことをご了承ください。
耳管とは?
中耳と呼ばれる部位と鼻咽腔をつなぐ管のことです。大気から中耳にかかる圧力を調節する働きがあります。正常な状態では閉じており、口を空ける動作であるあくびをしたり、つばを飲み込んだりした時だけ、耳管が開きます。
耳管の開放の度合いは人それぞれです。耳管が狭くなり、中耳の圧調整がうまくいかなくなるものが耳管狭窄症、必要以上に開いているのが耳管開放症です。高い山に登ったり、エレベーターで上昇したり、飛行機に乗ったりすると耳がつまったような感じがして、あくびやつばを飲み込むことで治った経験があるかと思います。これが耳管の開放による圧力の調節です。
耳管開放症とは?
耳管が開くことで不快な症状が出現した状態です。
■原因
ストレス、体重減少、加齢、妊娠、経口ピル、中耳炎など様々です。原因不明であることも多いです。
■症状
耳がカサカサガサガサする、ポコポコボコボコする、バリバリする、自分の声が耳に響いてうるさい(自声強聴)、耳がふさがった感じがする(耳閉感)、自分の呼吸音が響いて聞こえる(自己呼吸音聴取)、などがあります。これらの症状は他の耳疾患においても出現することがありますが、耳管開放症は横になったり、頭を下げると改善します。立ち仕事が続いたり、運動や脱水などにより悪化する傾向があります。
■診断
典型的な方では、鼓膜が呼吸とともに動揺します。その他、耳管機能検査やCT検査、聴力検査、レントゲン検査など種々の検査を総合して診断します。耳管開放症は常に症状や所見がみられる疾患ではないので、問診が非常に重要な診断の手がかりであり、検査を反復することが必要な場合も多いです。
■治療
重症度に応じて、生活指導、点鼻療法や漢方療法、耳管処置、手術療法を選択します。一般的にはまず生活指導、点鼻薬を試し、効果が不十分な場合にその他の治療へ進みます。
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生活指導
やせの改善・予防、水分補給、スカーフ療法(スカーフを首に巻く)など があります。激しい運動をした後の他、気温が低くなった時、乾燥している時などには症状が増悪することが多いです。運動後には適切な水分補給、マスクをして保温・保湿に努めることも効果がある場合があります。頸部圧迫(男性ならネクタイ、女性ならスカーフやハイネックのセーターなど)により耳管周辺にむくみを生じさせると症状が軽減します。ただし、強く締めすぎると気を失うこともありますので、注意が必要です。
鼻をすすると症状が改善することがありますが、後に真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎といった手術が必要な中耳炎に移行することがあります。鼻すすりはやめましょう。
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点鼻療法
症状のある側の鼻から生理食塩水を垂らします。心不全や腎不全で塩分制限がある場合を除き、副作用はほとんどないので手軽に行える治療法です。
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漢方療法
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、などを食前に内服します。
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鼓膜パッチ
呼吸により動揺する鼓膜にテープなどを張り、耳管開放症状をやわらげるものです。
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耳管処置
鼻から金属の管を通し、空気や薬液、医療用ゼリーなどを耳管に直接注入します。薬液や医療用ゼリーの注入は診断のために行うこともあります。効果は人それぞれですが、1日~14日の効果が持続することがあります。
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耳管ピン挿入術(当院では現在未対応ですが、ご相談ください。必要あれば信頼できる医療機関に紹介します。)
上記の保存的治療療法を行っても症状が改善せず、かつ診断時に明らかな耳管開放所見がみられる場合に選択します。正常な聴力の方の聴力を低下させる手術になり得ります。そのため、手術によるメリットとデメリットをよく相談した上での治療となります。また、ピンの挿入ができずに手術を中止することもあります。
(参考:日本大学医学部耳鼻咽喉科 耳管外来)
主な関連学会:日本耳科学会
耳管狭窄症とは?
原因:感冒、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎であることが多いです。またアデノイド増殖症、腫瘍のこともありますので鼻からの内視鏡検査で確認させていただいています。
症状:耳閉感(耳づまり)、難聴感、耳鳴り、耳の痛み、などがあります。
診断:受診時に症状が落ち着いていることも多く、問診や聴力検査、耳管通気などを用いて総合的に診断します。
治療:症状の強さと原因に応じて相談させていただきます。自己換気、投薬(内服、漢方)、耳管通気、鼓膜切開術・鼓膜換気チューブ留置術、などを提案させていただいています。当院ではバルーンによる耳管開大術はおこなっていないため、適応となる方には紹介状を用意します。
耳管外来の診療の流れ
- 診療時間内に当院に来院し、耳管診療希望の旨をお伝えください。
- 事前に本ページ最初の文にある問診表をダウンロード、印刷し、当日お持ちください。印刷できない場合は早めに当院にお越しになってください。来院後、問診表を渡します。情報量が多いと助かりますので、些細なことも含めて詳細にお書きになってください。
- 追加で病状を伺い、診察をします。以前の聴力検査をお持ちの方は持参ください。無い場合はまず聴覚検査(聴力検査、鼓膜の動きの検査、など)をします。
- 耳管機能検査JK-05A(Dタイプ)で必要に応じた検査を行います。
- 診断にもよりますが、まずは内服、耳管へのジェル注入などの相談をし、治療を開始します。